坪井というひとは、

 考古学の祖でもあるが、考現学の祖型をつくった人でもあるというのは、考現学を開闢した今和次郎によって明示されている。繁華街を行きかう人々の服装の組み合わせや統計をとって、和装から洋装への移行の度合いを分析する論考を風俗測定という名で発表していたのである。坪井自身は同時代の推移と距離を置くような、そんな霞を喰らっている輩では必ずしもなかったことがみてとれる。