思考はもっと深層に

 赤松を通して傍示された権力ゲームと、これを回避するかのように顕示する藤山の方途。そもそも、社会政策学会が一旦の休眠をする直前の、東京帝国大学法科の経済学部を卒業した藤山一雄。彼の当初の課題は、当時日本の食生活の拡充であった。それは在学中、先の性質に示されるように、北海道のデンマーク人農家での実際に労働に打ち込むなか培われた、という。うっかり原則論に陥りやすい、社会改良等々お題目の横溢する「囲み」から離れたところで、改良せんとする思考が培われた、といえる。