今回の時点においても

 マスコミ=情報媒体としての役割を果たしたのは、便乗する企業、と新聞記者に目された京浜電鉄のほうであったといえる。そのキーとなるものが、本文中にも登場する『京浜遊覧案内』という刊行物である。URLを俟つまでもなく、これは明らかに京浜電鉄のそれである。なぜなら、ここの「郊外生活のすゝめ」という今回の紹介から外れる内容の章はまさに、鉄道がらみの外部効果を誘発するベタなテクニックだからだ。(こういう手法についての参考文献は多数あるが、例えば、パルテノン多摩展示図録の『多摩ニュータウン開発の軌跡』がある)
 ちなみに、としたが、京浜電鉄、改め京浜急行電鉄は、その後もかくなる手段を用いている。古書市場において未だ法外な価格をつくというそんな勇名を誇る『三浦古文化』である。そしてこの場を借り地域研究の一助としたのが、例えば赤星直忠や浜田勘太ら三浦半島の研究者だったのである。
敵もさるものひっかくもの。うわぁ、言ってもた。けほども、うまぁない。