関口存男・一郎2005『関口・初等ドイツ語講座 上』三修社

 先の意味形態論の集大成を執筆することに専念していた晩年まで本書の吟味にあたっていたようである。(序文に記された年が1956年。彼が亡くなるのが1957年のことである)それだけに意味形態論の説明に仮託すべく関口が選んだ冠詞のうち、本書の定冠詞のくだりにその意味形態というものを垣間見せている、ようにも思える。意味でもない形態でもない意味形態だ、としかいえない。概念と格が綱引きして宙ぶらりんの冠詞の姿である。
 某所に他の版権の切れたらしいものがネット環境にあるのだが、Sondern先生というのはどこを切っても自分の関心領域を反映させる作風を存していたようである。しかも文体の品が、、この人と結構いい勝負をしている。