『Vol』2 以文社

 すでに入手していたものの、前の件もあるし、なんかね。
 でも、前にも増して、微温的なんだよね。案外。


労働倫理的反論(別の箇所にて、「労働倫理にもとづく「働かないのにお金もらっていいの?」感や「働かざる者食うべからず」説」と説明。以上、引用者註)に関しては、ベーシック・インカムはあくまでも「労働と所得を切り離す」だけであり、「労働を否定する」ものではなく、したがって「ベーシック・インカムをもらったら人は働かなくなるので良くない」という主張には説得力がない。「働かずにお金をもらうなんて」という感覚に対しては、「われわれは、かりに賃労働に従事していなくてもあらゆる場面で労働している(例:出産、育児、家事等々、賃金を支払われない再生産労働など)」という反論が成り立つ。(Wikipediaの記述より) 

 しかし、これに関して議論を深めるほど、「労働と所得を切り離す」ことに懸命になるあまり、労働の否定となっている。あ、もとい、商品なしに生活できない現代社会の労働を否定している。ハナ・アレントの引用を介して、いつの間にか、商品との関わりの未成熟な古代社会の論理を挿入する。これが彼ら側からの政治的な作為である。批判者の契約関係の拘泥を迎え撃つための援軍として、シャドウワークを差し向けておきながら、イリイチの所見に一顧もないのは、現代に立脚した上で思考した彼の態度そのものがお気に召さないからなのか。