K・ガルブレイス2006『ゆたかな社会』岩波現代文庫

 前者が後者を攻撃目標としている。後者はえらいとばっちりではないだろうか。ガルブレイスは、経済学帝国主義と誤解される動きをしたパイオニアであることは、サミュエルソンフリードマン、といった、まさにカッチカチやぞ、カッチカチやぞ、ゾックゾクするやろ!ああ、あつくるしいな経済学者たちに叩かれていることからも、顕著である。
 で。ボードリアールが本来の標的であるヴェブレンをずらしてあえてガルブレイスに当てるのは、彼の狡知とも見受けられかねない。実はボードリアールを引用する者のなかにも反動的なそれにバランスを取ろうと、迂回生産の図式を考慮に入れるJ・デュピュイのような立場もあるが、そのトーンは低い。しかし、声高にガルブレイス氏ねみたいな読みの拾い出しだけでは、なんともBad Tasteなものになりやしないだろうか。