こんな回り道

 こんな回り道したものの、官/民に固定化から免れていなかったのだなあと。。
 さて、著者は、その固定化を排し示したのが、過日に紹介した論考に基づく『銀河鉄道の夜』の読解を媒介した思索である。(本書第1章第1節)この来館者の視座にたてば、件の固定化からたちどころに自由となるのである。展示と来館者の触れ合う場にたち発想する『博物館は生きている』の廣瀬鎭を紹介している(本書第5章第1節)。
 そういえば、いみじくもここで紹介した相澤忠洋の少年期の東京行の挿話は、来館者分析のスーパーヴィジョンとして読みなおすことができる。彼が来館したのは、帝室博物館(現独立行政法人東京国立博物館)なので尚更意義深い。