そんな折

 そんな折、poliの生業の分野では市場価値の周縁でLinuxなどオープンソース・プロジェクトの勃興が話題となっていた。そのさなかで、ローレンス・レッシグの『CODE』の訳出が出来した。この書を介してpoliがみたのは、官ではない、一般に民とみなされる立場から制度=CODEが造られ"施行"された姿であった。制度は必ずしも官だけのものではない民からの制度も創出し得るということである。
 ちなみにこの書では、動線計画という作為は、パリ・コミューンの闘士たち【民】も、そこから学んだアメリカ合衆国政府【公】も用いたそれであり、モーゼスとジェイコブスとでニューヨークの街づくりを巡って是非を問われた課題に及んでいたことまで、いみじくも例示していたのであった。
 冒頭の引用に即すれば、官に民が内在する営為を探し求めていたのである。が、確かにそれも上の固定化のリスクが寄り添っていて、図らずもそうなっているような焦燥感がつきまとっていたことを覚えている。