官と民を対置して捉えることに囚われる――。

 想起することがある。10年以上も経ってしまった。。。
 ある学芸員が講師を務めた考古学講座のある一講の後、やや疲れ気味にこう漏らしたことがある。そういえば、このとき教材として月ノ輪古墳の発掘調査の記録映画を流したのであった。(奇しくも本書のあとがきで、この発掘にまつわる挿話が記されていて、卒倒しそうになった。偶然ですホント。)


「なんで、ああして官と民とを対立させたいのだろうね」
 遺跡を保存したいという点では同じ方向を見ているのに、というのだ。ましてや、公務員法に公僕とあるのに、とややぼやき気味に漏らしていたものだった。"人様は公というとお上だ、と決めつけるのか"といった悔しさ、もどかしさだったのか。。。