カント1971『人間学』岩波文庫

 と、いうことで、フーコー中島義道といった魔道をすすむ輩が惹かれる著作を、先週某所のワゴンセールよりゲットである。

機智がなくてしかも判断力に欠けたのが愚鈍である。しかし同じく判断力を欠いてゐても機智を伴つてゐるのが愚昧である。―仕事において判断力を示すものが怜悧である。それと同時に機智をも持ちわせてゐれば聡明と称せられる。―さうした特性の何れかを単に装つてゐるに過ぎないものが駄洒落屋であり、また小理屈家であって嘔吐を催させる代物である。(前掲書 pp.142 ll.5-8)
馬鹿とは、無価値な目的のために、価値のある目的を犠牲にする人のことである。たとへば世俗的な盛名のために家庭の幸福を抛つ如きはすなはちそれである。馬鹿のくせに他人を侮辱的にするのは阿呆と呼ばれる。(同 pp.152 ll.1-3)

おしゃれとかうぬぼれとか呼ぶことも、阿呆が利巧でないといふ概念にもどづいてゐる。前者は若い阿呆であり、後者は年を取った阿呆である。両者はいづれも狡猾な人間や悪漢に誘惑せらるが、その場合にも前者はまだ同情を買ひうるけれども、後者は辛辣な冷笑を招くのである。(同 pp.158 ll.9-12)
 こんなしょ〜もないことを、三批判のトーンで語るカントの愚直さがいや〜オモロ。。。
 74という人生の円熟期に達するともなると、ここまで多様な罵詈雑言を紡ぎ出せるものなのかと思う。ってばか!!