でも。

 意識を向けてもらいたいのは、こういう来歴・環境に育まれた哲学徒によるテクストのたった一枚のカード=絵葉書のみに本書はあまりにも翻弄されすぎではないか、といいたいからだ。
 東自身があとがきで表明する袋小路や、迂回というか難渋ばかりを引き起こす補助線の多出はそうして出来されたものではないか。そういうことである。